高校の課題ごとの生成AI利用ルールの決め方|文部科学省ガイドラインに沿った例
生成AIの利用ルールは、学校全体で一つに決めるより、課題ごとに決めるほうが機能します。その課題で育てたい力をAIが代わりに担ってしまう場面では利用を控え、それ以外の場面では役割を決めて使わせる、という考え方です。文部科学省のガイドラインも、学習指導要領に示す資質・能力の育成につながるかどうかで、活用の適否を判断するよう示しています。※1
Cognityは、生徒が生成AIと一緒に課題に取り組む過程を記録する、AIの可視化ツールです。この記事では、課題ごとのルールに入れる項目、課題の種類ごとの例、生徒への伝え方を紹介します。生徒向けの案内文と記録用紙は、そのまま使えます。
学校全体のルールだけでは足りない理由
同じAIの使い方でも、課題によって学びになることもあれば、評価を成り立たなくすることもあります。意見文で反対意見をAIに尋ねるのは良い学習ですが、「反対意見を考えること」そのものを評価する課題なら、評価するものがなくなってしまいます。
文部科学省のガイドラインは、活用の適否を判断する観点として、資質・能力の育成につながるかに加えて、適正な評価の阻害や不正行為につながらないかも挙げています。※1 どちらも、課題ごとにしか判断できない観点です。
課題ごとのルールに入れる4つの項目
課題ごとのルールには、次の四つを書いておくと生徒が迷いません。
- AIを使ってよい場面: どの段階で、どんな役割で使えるか
- 記録すること: 使ったツールの名称、入力したプロンプト、出力、日付
- してはいけないこと: たとえば、生成物をほぼそのまま自分の成果物として提出すること
- 入力しない情報: 氏名や写真などの個人情報
2〜4は、文部科学省のガイドラインが示している内容です。※1 利用規約については、年齢制限や保護者の同意の必要性を含めて、最新の規約を確認するよう求めています。
課題の種類ごとのルールの例
課題の種類ごとに、育てたい力をAIが代わりに担う段階だけを制限します。高校でよく出す課題で例を挙げると、次のようになります。
| 課題の種類 | 評価したい力 | AIを使ってよい | AIを使わない |
|---|---|---|---|
| 意見文・小論文 | 主張と根拠を組み立てる力 | 資料調べ、反対意見の確認、推敲すべき箇所の相談 | 主張を決めること、文章を書くこと・書き直すこと |
| 探究のレポート | 情報を整理・分析する力 | 用語の説明、調べ方の相談 | 分析の結果の解釈と結論 |
| 発表 | 内容を構成し伝える力 | 質疑の練習、資料探し | 原稿やスライドの文言の生成 |
| 感想文・振り返り | 自分の考えや経験 | 書き終えたあとの表現への助言 | 書き始める前のAIの利用 |
感想文の例は、ガイドラインが不適切な例として「初発の感想」を挙げていることに合わせています。※1
生徒への伝え方と記録用紙
課題の説明にルールを書き、生徒が課題に取り組む画面でも見られるようにします。次の文を、課題に合わせて直して使ってください。
この課題での生成AIの使い方
- 使ってよいこと:根拠となる資料を探す、反対意見にどんなものがあるか尋ねる、書き終えた文章の弱いところを尋ねる
- 記録すること:使ったAI、入力した質問、答えをどう使ったか(そのまま・要約・修正・参考)
- してはいけないこと:AIに文章を書かせたり書き直させたりすること、AIの文章を自分の文章として出すこと
- 入力しないこと:自分の名前、写真、連絡先などの個人情報
生徒が書き込む記録用紙は、ガイドラインが挙げる明記の項目に合わせると使いやすくなります。
| 入力した質問 | AIの答えで使ったこと | 使わなかったことと理由 | 確認した出典 | 使い方 |
|---|---|---|---|---|
| そのまま/要約/修正/参考 |
Cognityでのルールの反映
先生が課題を作るときに書いたAIの利用ルールは、生徒の課題画面の冒頭にそのまま表示され、CognityのAIチューターJelloも同じルールに沿って答えます。生徒が文章を代わりに書いてほしいと頼むと、Jelloは断り、自分で書けるように問いを返します。

生徒がAIをどう使ったかは、記録用紙を集めなくても先生の画面に残ります。Jelloの答えと20文字以上連続して一致した文は、本文に表示されます。

生徒にはリンクを送るだけで参加してもらえます。アカウント登録は不要です。もちろん、学校単位で導入する場合は、校内のLMSとの連携もできます。
よくある質問
Q1. ルールは学校が決めますか、先生が決めますか?
両方が必要です。学校は大きな方針を決め、課題ごとの使い方は、その課題のねらいを最もよく知る先生が決めるのが自然です。
Q2. ルールにない使い方をした生徒がいたら?
まずその例を記録し、判断したうえで、次の課題のルールに例として加えます。ルールは使うたびに具体的になっていきます。事前に示していなかった使い方を、いきなり不正として扱わないことが大切です。
探究の過程をどう評価するかは探究学習で生成AIを使うとき、過程をどう評価する?に、検出ツールの限界はAI検出ツールで生成AIの使用は見抜ける?にまとめています。
参考資料
- 文部科学省(2024)「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」
Cognityは無料で始められます。次の課題を、Cognityで出してみませんか?