AIの可視化

    AIの可視化。AI検出ではなく。

    AIの可視化とは、学習者がAIとどう作業したのかを記録しておく取り組みです。プロンプトも、AIの返答も、加えた修正も残ります。完成した文章が機械によるものかを推し量る必要がありません。

    検出器を使えば、学習者と言い争うことになります。記録があれば、学習者と話し合えます。

    AI検出器の代わりに、先生が使えるもの

    作品がどう作られたかの記録です。採点に必要な3つは、どれも完成した文章の確率からは得られません。

    学習者が実際にやったこと

    どの一文が、いつ現れ、その前に何があったのか。採点には、文章がどう作られたかを知る必要があります。完成した文章から判断するのではなく、記録を読んで。

    学習者も同じものを見られる

    フィードバックが学びになるのは、学習者が先生と同じものを見られるときだけです。自分のセッションの記録は、一緒に話す材料になります。先生のものであり、学習者のものでもあります。

    授業が続いているうちに

    提出後に届くものは、もう成績です。学習者が行き詰まっている、あるいはAIに頼りすぎている。まだ声をかけられるうちに、それが見える。学びを変えるのは、そこです。

    AI検出に代わる方法には、何があるのか

    検出器に頼るのをやめた学校が選ぶのは、主に次の3つです。答える問いがそれぞれ違うので、組み合わせて使う先生が多くいます。

    評価のしかたを変える

    記録するもの
    自動では何も残りません。授業中に書く、途中の下書きを出す、短い口頭で説明させる、といった方法です。
    わかること
    学習者が、助けなしで作品を書き、説明できるかどうか。
    足りないところ
    学習者一人ひとりに先生の時間がかかります。AIの上手な使い方を教えるのではなく、課題からAIを外す方法です。

    作成過程の記録(プロセストラッキング)

    記録するもの
    文書の編集履歴です。入力、手が止まった時間、削除、貼り付け。セッションを動画のように再生できるものもあります。
    わかること
    文章が文書の中で打ち込まれたのか、どこかから一度に貼り付けられたのか。
    足りないところ
    見ているのは文書で、AIではありません。別の画面でAIを使っていれば、わかるのは文章が現れたことだけです。

    AIの可視化

    記録するもの
    課題の中で交わしたAIとの対話そのものです。すべてのプロンプト、AIの返答、その後に学習者が加えた修正。
    わかること
    学習者がAIとどう作業したか。何を尋ね、何を採らず、どこを自分の言葉に直したか。
    足りないところ
    記録できるのはワークスペースの中の作業だけです。別の場所で書いて貼り付けることは防げません。

    AIの可視化と、AI検出の違い

    同じ道具の別バージョンではありません。問いが違い、次の一手がついてくるのは片方だけです。

     AI検出AIの可視化
    問いこの文章はAIが書いたものか?この学習者はどう進めたのか?
    返ってくるもの完成した文章についての確率プロンプト、返答、修正が順番どおりに並んだ記録
    見る場所成果物を、事後に作業そのものを、進行中に
    次にできること学習者に問いただすか、見送るか教える、ルーブリックで採点する、より良い問いを立てる
    学習者が見るもの自分についての判定自分の作業。そこから学べる
    保護者や審査の場で示されるもの信じてほしいと言われる数値やりとりそのもの。何を尋ね、何が返ってきたか
    苦手なところ第二言語で書く学習者に、最も厳しく出るワークスペース内の作業しか記録できない

    AI検出器の精度と、取り違えられる学習者

    精度の数値の多くは、ベンダー自身の報告です。しかも、文書のどこまでを検出とみなすかで変わります。平均値は、あまり役に立ちません。大事なのは、誤りが誰に集中するかです。研究者が、英語を母語としない書き手のエッセイで、市販の検出器7種類を検証しました。すべてが、その文章をAI生成と誤判定しました。母語話者の文章は、正しく分類したうえでです。

    原因は、悪意ではなく仕組みにあります。使える語彙が少ない書き手ほど、文章は予測しやすくなります。そして予測しやすさこそ、これらの道具が測っているものです。研究者は、この理由から教育現場での使用に注意を促しています。

    第二言語で書く学習者が多い環境では、同じ人たちが繰り返し誤判定されます。可視化には、この問題がありません。文章から推し量るのではなく、実際に起きたことを読むからです。

    Liang et al., Patterns (Cell Press), 2023(米国の中学2年生のエッセイとTOEFLのエッセイを比較)

    AIの可視化にできないこと

    AI検出器はこれを解決すると言って、解決しませんでした。記録に本当にできないことを、先に書いておきます。

    不正を不可能にはしません。

    学習者は別の場所で書いて貼り付けることができます。記録が示すのは、作業の跡がないまま現れたページです。取り上げる価値のある手がかりですが、証拠ではありません。

    先生の代わりに判断はしません。

    Cognityは学習者を不正と決めつけませんし、それに従って動くべきスコアも出しません。何が起きたかを示すだけです。判断するのは、あくまで先生です。

    自分のワークスペースしか見えません。

    別のタブでの作業は記録に含まれません。Cognityが伝えられるのは、先生が出した課題の中で起きたこと、つまり採点している部分です。

    AI検出について、先生からよくある質問

    正直に答えています。こちらに都合のいい答えにならないものも含めて。

    1クラスで、可視化を試してみませんか。

    課題を1つ、リンクを1つ、アカウント登録なし。過程を読むほうがスコアを読むより良いかどうか、1コマのうちにわかります。