生成AI時代の大学レポート課題|文部科学省の通知と各大学の評価の工夫
大学のレポート課題は、完成した文章だけを評価する形から、書く過程も評価する形へと変わりつつあります。文部科学省の通知は、生成AIの出力をそのまま提出することを「一般に不適切」とし、小テストや口述試験の併用など評価方法の工夫を求めています。※1 各大学のガイドラインも、検出よりも評価の設計を見直す方向で一致しています。
Cognityは、学生が生成AIと一緒に課題に取り組む過程を記録する、AIの可視化ツールです。本ページでは、文部科学省の通知と各大学の工夫を整理し、レポート課題の運営方法ごとに確かめられることと教員の負担を比べます。
レポートでの生成AIの利用状況
全国大学生活協同組合連合会の調査(2025年10〜11月、学部生13,277人)では、生成AIの利用経験がある学生は92.2%でした。「論文・レポートの作成の参考に」使う学生は49.8%で、2023年の22.1%、2024年の29.7%から年々増えています。※2
文部科学省の通知と各大学のガイドライン
文部科学省の通知と各大学のガイドラインに共通するのは、授業ごとにルールを示すこと、利用を明記させること、そして評価の方法を見直すことです。
- 文部科学省(2023年): 授業ごとの利活用の可否や、反した場合の措置を含めて検討すること。利用した旨と生成AIの種類・箇所を明記させること。小テストや口述試験を併用すること。※1
- 京都大学(2026年): レポート課題とあわせて、筆記試験・口頭説明・実演などを用いること。※3
- 大阪大学: 下書きや参考文献、編集履歴などの提出を求め、面接や口頭試問のような生成AIの影響を受けにくい評価も組み合わせること。※4
- 上智大学(2025年): 非対面の課題による評価の比率を下げ、学びのプロセスに基づいた評価を取り入れること。※5
- 東京大学(2023年): 大切なのは得られた結果ではなく、解答を得る過程であること。※6
レポート課題の運営方法の比較
段階的な提出、口頭試問、授業内での執筆、AIとのやりとりの添付、過程を記録するツールでは、確かめられることと教員にかかる時間が異なります。履修者100人の授業を例に比べると、次のようになります。
| 方法 | 確かめられること | 教員にかかる時間 | 限界 |
|---|---|---|---|
| 段階的な提出(構成案→下書き→完成稿) | 各段階の中間成果物 | 採点の回数がおよそ3倍 | 段階と段階の間に何があったかは見えない |
| 口頭試問 | 理解度を直接確認できる | 1人10分でも17時間近く | 大人数の授業で全員に行うのは難しい |
| 授業内での執筆 | AIを使わずに書いた文章 | 授業時間を執筆に充てる | AIを使いこなす力は評価できない |
| AIとのやりとりの添付 | 学生が選んで提出したやりとり | 読む量が増える | 学生が見せたい部分だけを選べる |
| 過程を記録するツール | 書く過程の全体 | 概要を見て、必要なときだけ記録を開く | ツールの中で書いた分だけが記録される |
口頭試問は理解度を最も直接に確かめられますが、大人数の授業では一部の学生に絞って行うのが現実的です。授業内での執筆はAIの利用を防げる一方で、AIを使いこなす力を評価の対象から外すことになります。
段階的な提出と過程を記録するツールは、組み合わせることもできます。段階ごとに成果物を受け取りながら、その間の過程は記録で確かめる方法です。
過程が見えることで評価できる観点
過程が見えると、AIを使ったかどうかではなく、どう使ったかを評価の観点にできます。
- プロンプトに課題の理解が表れているか: 課題を的確に言葉にできる学生は、すでに難しいところを越えています。
- AIの誤りに気づいたか: もっともらしい誤りを見抜くには、内容の理解が必要です。
- 根拠を確かめたか: 主張に入れる前に、出典を確認したかがわかります。
- 論の方向を決めたのは誰か: 学生が方向を決めた箇所と、AIに従った箇所が記録に表れます。
Cognityで見えるレポートの作成過程
学生はCognityの中で、AIチューターのJelloと一緒にレポートを書きます。教員は提出物を開くと、完成稿の横で、学生とJelloの会話と、文章ができるまでの記録を確認できます。
下の学生は、書いている途中で「寮に住むと1年生の成績が上がる」と言い切れるかをJelloに確かめ、本文では主張の範囲を自分で絞りました。


同じ課題でも、レポートをまるごと貼り付けた提出物は、次のように見えます。

学生にはリンクを送るだけで参加してもらえます。アカウント登録は不要です。もちろん、大学単位で導入する場合は、学内のLMSとの連携もできます。
よくある質問
Q1. AI検出ツールの判定で減点してもよいですか?
避けるべきです。文部科学省は判定ツールの結果を過信しないよう求めており、東京大学も不正利用の証拠としては不十分としています。※1※6 判定は、過程を確かめるきっかけにとどめるのが安全です。
Q2. 生成AIの利用を認めると、レポートが簡単になりすぎませんか?
完成稿だけを評価する場合はそうなります。過程を評価の観点に入れれば、AIの誤りに気づいたか、論の方向を誰が決めたかといった、AIには代われない部分で差がつきます。
学生がレポートに書く生成AIの利用の明記については、レポートでの生成AI利用の明記の仕方にまとめています。授業全体での使い方は大学向けCognityをご覧ください。
参考資料
- 文部科学省 高等教育局(2023)「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)」
- 全国大学生活協同組合連合会(2026)「第61回学生生活実態調査 概要報告」
- 京都大学(2026)「教育・学修における生成AI利用に関するガイドライン」
- 大阪大学 全学教育推進機構「評価における生成AIの影響」 2026年9月30日確認
- 上智大学(2025)「教育における生成AI利用に関するガイドライン」
- 東京大学(2023)「AIツールの授業における利用について」
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